手甲、脛巾

1章7節359-8

手甲(てっこう)は、屋外での労働のとき、外傷、日差し、寒気を避けるために使われ、旅行、行商にも用いられた。形態は平型と筒型とがあり、平型は甲の部分が「やま」といわれる三角形か半円形となっており、その先についている紐に中指を通して手首に巻き、紐かこはぜで留める。材料は紺木綿が多いが、狩猟者は毛皮製のものを用いた(「手甲」『日本大百科全書』小学館、1994年)。 これに対し脛巾(はばき)は、膝下のはぎにつけ足を保護するもので、布、藁など様々な材料によって作られる。室町時代に脚絆(きゃはん)という語が現れ、こちらの名称が一般化するが、脚絆は布製のもので、脛巾は稲わらなどで作られたものとして区別する場合もある(宮本馨太郎「脚半」『国史大辞典』1983年、鷹司綸子「脛巾」『国史大辞典』1990年、吉川弘文館)[加藤]

男ばかりが護謨の長靴などを穿いて~大正終りの護謨長時代+跣足足袋、地下足袋

手甲と脚絆を身につけた女性。
出典:「大原女」絵:土田麦僊 1927年(昭和2)