外国旅客の見聞記

1章4節349-5

有名なのものとして、プラントハンターとして知られる英国人ロバート・フォーチュン(1812-1880)の見聞記にある、「住民のはっきりした特徴は、身分の高下を問わず、花好きなことであった」にはじまる記述がある(『幕末日本探訪記 江戸と北京』講談社学術文庫、1997年、32頁以下)。フォーチュンは、1860年に長崎から日本に入国してすぐに、こうした印象を記している。ただしこれは『世相篇』刊行より70年前のことであり、「近頃」というにはあまりに遠い。また「毎度有る」(349-6)とあるように、柳田自身これを定型的な記事と捉えているため、そもそもひとつの出典を確定することは難しい。しかしたとえば、ジャパン・ツーリスト・ビューローが刊行していた雑誌『ツーリスト』(1913~36年。ゆまに書房復刻版、2017~9年)には、英文欄が設けられ、毎号のように外国人旅行者による日本見聞記が掲載されていた。柳田は、そうしたものを読んで、それを「毎度有る」と見做したのであろう。もっとも、それらは「動機」の推移を見ることができておらず、「其観察は実は半分しか当たつて居なかつた」(349-7)とする。[山口] 

物遠い法則込み入つた調査外部の文明批評家花作り外国の旅人は日本に来て殊に耳につくのは~