袖無し、手無し

1章7節359-6~7

古くは肩衣とも呼ばれ、庶民の衣服だったが、その後、武士の間で陣羽織となり、庶民の間では甚兵衛羽織となった。いわゆる「ちゃんちゃんこ」である。柳田が「東部の町ではもう小児か年寄りにしか着せて居ない」(359-7)と述べているように、東京では子供や老人がこれをよく着ていたが、地域によっては若い男や女性がこれを着る例もある。秋田県鹿角郡などでは、これをハッピといった(「ソデナシ」『綜合日本民俗語彙』2巻、平凡社、1955年)[加藤]

婦人洋服の最近の普及腰巻

祝い着として紹介されている袖無し。
出典:『実用裁縫秘訣』(東京和服裁縫研究会編) 1920年(大正10)