著聞集には小馬を足駄だと謂った人の話があるが、駄といふからには何か基づく所はあつたのである

1章8節363-3

『古今著聞集』は中世の説話集。橘成季著。20巻。1254年(建長6)成立。「巻第20 魚虫禽獣」の719話「阿波国智願上人の乳母の尼、死後化生して馬となり、上人に奉仕の事」に以下のような一文がある。「阿波の国に智願上人とて国中に帰依する上人あり。めのとなりける尼死に侍りて後、上人のもとに、おもはざるに駄を一疋まうけたりけり」。おそらく柳田が指している話はこれであろう。この他に足駄が登場する話として、「近江国の遊女金が大力の事」(巻第15 相撲強力 381話)、「順徳院の御時、恪勤者其傍輩と賭け、内裏の番替りに高足駄にて油小路を通行の事」(巻第16 興言利口 538話)がある。[加藤]

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