大正四年の染料医薬品製造奨励法

1章6節355-12

1915年法律第19号「染料医薬品製造奨励法」は全9条と附則からなる。同法における染料とは、「『アニリンソルト』、『アニリン』染料、『アリザリン』染料及人造藍」のこと。アニリンはアミノベンゼンとも言われ、特有の臭気を持つ無色油状の液体。それを塩酸と反応させて得られるのがアニリンソルト(アニリン塩酸塩)。いわゆるアニリン染料の原料であり、20世紀初頭には合成染料の代表格であった。アリザリンと人造藍(インジゴ)は、それより後発の合成染料。同法は、これらを製造する国内の株式会社に対し、補助金を交付することを定めている。「世界大戦時代の貿易杜絶によつて」(355-11)とあるように、第1次世界大戦の勃発により、それまでほとんどドイツからの輸入に頼っていた染料を自給する必要に迫られ、そのために採用された奨励策であった。翌年には日本染料製造株式会社が設立され、上記のものをはじめ各種合成染料の製造を開始、1930年には輸出が輸入を上回るに至った。[山口]

紺を基調とする民間服飾の新傾向